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学校での「グループワーク」の乗り切り方について

以下、心理士鈴木の記事です。学校生活でよく起こるトラブルについての記事となります。

当院では、高校生や大学生の方も多く来院されていますが、授業や講義の中で、アクティブラーニングの一つとしてグループワークが実施されていることが多いようです。このようなグループワークでは、座学での勉強とは異なり、複数名で協力して調べ学習や資料の作成、発表を行うことが求められます。そのため一般的な授業スタイル以上に緊張したり、参加を尻込みしたりされる方が多いです。

 グループワークが苦手な場合、基本的にはそのようなスタイルを取らずに、一人で黙々と勉強できる環境作りを行うことが第一選択肢だと考えています。患者様の中には、将来働く上でグループワークが出来ないと困るのではないかと心配される方もいらっしゃいますが、一人で作業できるような仕事スタイルや職種はたくさんあります。将来的な自分の生活スタイルは自分で選択できる部分も多くあり、自分に適した生活スタイルを早めに知っておくことで対処可能になるため、それほど心配する必要はないと考えています。

 一方で、学校に関しては、通信制や全日制等の選択肢はあるものの、多くの場合授業スタイルを自分に合うように都度変更することはかなりの労力がかかります。その意味では、グループワークを避けるようにすることが難しい場合が多いです。

 そのため、ここでは仕事ではなく、あくまで学校の授業の一環として単発的にグループワークに取り組む際に、過度に疲れたり自分を責めたりすることなく過ごすための方法について、項目ごとにいくつかご紹介いたします。

<グループを組むとき>

 基本的には仲の良い友達と組むことが望ましいですが、クラスに友達がいない場合やその他の理由でそれが叶わない時もあるかと思います。その時は別の仲良しグループを見つけ、そこに声をかけて入れてもらうのが良いです。

 このとき、5〜6人等の大人数で仲良くしているグループではなく、二人組や三人組等の少人数で仲良くしているグループがおすすめです。

 大人数の場合、そのグループのメンバー以外は受け付けないとしていることが多いですが、二、三人組の場合、相方がいればあとは誰がいても別にどうでもいいと考えていることが多く、またグループに入れるのを断ると自分が悪くうつってしまう等デメリットが多いため、基本的に断られることは少ないです。グループワーク中も彼・彼女らで早々と進めてくれる可能性があるため、それに同調する形でグループワークを乗り切れることも期待できます。

<グループワーク中の立ち回り方>

書記や記録係に徹する

 グループ活動に参加していながらも、それほど発言しなくても何となく許されるポジションです。

  ただ、グループワークが苦手で乗り気じゃない人は多いため、そのような人の中では人気な立ち位置であることから、毎回このポジションをとれるとは限りません。そのような時は、無理にこのポジションにつこうとせず、次に示す選択肢も候補の一つとして考えてみてください。

自分で全部やってしまう

 自分だけに作業が集中する、自分が頑張ったのに成績はグループ内で均等につけられてしまう等、不条理を感じることが多いですが、その不条理さを受容するだけの価値はあると思います。

 自分で全てやってしまうことで、自分で作業をコントロールできるため、早めに作業を終えることができ、授業とは別に集まる時間を作ることもしなくて済みます。つまり、形態としてはグループでありながら、実際には自分一人でのワークに変えることで、グループワークをしなくて良くなります。

<グループワーク中のトラブルシューティング>

意見がまとまらない時 

 グループワークに対する熱量が高いグループに入ったときには、このような場面に遭遇することが多くなります。

 このような際には、機械的に折衷案を作成するのがおすすめです。この項目ではこの人の意見を採用し、次の項目では別の人の意見を採用する等、システマティックに折衷案を考えるようにしてみてください。

誰も意見を言わないとき

 これは反対に、グループワークに対して乗り気じゃない人が多いグループに入った時に遭遇することが多くなります。

 このときは「グループワーク中の立ち回り方」の②で挙げたように、全部自分でやってしまうのがベターかと思います。早く作業を終えられますし、周りも早く終わらせたいと思っているため、自分が進めていくことに対して反対する人は少ないと考えられます。

 以上、いくつかご紹介させていただきましたが、勿論クラスの雰囲気やグループワークの内容等によっても、これらの選択肢が取れる場合とそうでない場合があります。ケースバイケースで一つずつ困難を解消していく必要があることも多いため、そのような場合にはカウンセリングで一緒に考えて、より過ごしやすくするための方法を編み出していけたらと考えております。

また社会不安障害等でどうしても本人の特性上、グループワークが困難なケースでは主治医に診断書(内容としては「本人の特性上グループワーク困難である」)を作成してもらうことも可能です。再診の診療時に主治医に相談下さい。

双極性障害2型について

躁鬱病は双極性障害ともいわれます。双極性障害には躁状態がはっきりした双極性障害1型と躁状態がはっきりしない(軽い躁状態)双極性障害2型の2つがあります(厳密にはその他いくつかありますが割愛します)。1型の場合は、躁状態がはっきりするため分かりやすいのですが、診断に迷うケースは2型の場合です。

双極性障害とうつ病では治療戦略が全く異なるために、その鑑別は非常に重要となります。

その鑑別のため以下の点に注意することが必要です。

発症が若年である

うつ状態が難治であったり繰り返しが多い

症状が非定型的(典型的でない)

産後に発症した

季節性である(冬に悪化など)

性格が発揚気質(活動的で陽気で疲れ知らず)

うつ病と診断されてから何年も治らずに経過している方で、実は診断がうつ病ではなく双極性障害であったということがあります。また強迫性障害や不安障害の背景に双極性障害がある場合や、ADHDに併発する場合など様々な精神疾患の裏に隠れている場合があります。双極性障害の診断が遅れてしまうのは大変申し訳ないことであり、日々慎重に経過を診させて頂いております。

特に双極性障害2型については前述したように早期に診断することは難しいです。生涯発症率は5~10%程度ともいわれており(1型は1%未満)比較的多い疾患ですが、うつ病やその他疾患と誤診されるケースが多いです。双極性障害2型を見分けていくポイントとしては、前述の点に追加して以下の点も考慮する必要があります。

起業家気質である、エネルギーがありそう

うつ状態なのに沢山話す、話が長い

衝動性のコントロールが甘い:過食、過量服薬浪費など

不安障害・パニック障害・強迫性障害・ADHDの合併あり

離婚・転職・引っ越し・色恋沙汰が多い

環境との共振:周囲に気を使って仲良くしようと頑張りすぎる。治療者と心理的距離を縮めることを望む。

常に現状を変えようと試みる。

このような点が診療の中で確認でき、抗うつ剤にきちんと反応せず経過するうつ状態であれば双極性障害2型の可能性があり、治療方針を変えて対処する必要があります。

また当院のようなクリニックでは、双極性障害1型では躁状態のときにきちんと対応できないことが多いです(精神科病院への転院となるケースが多いです)。結果的に2型の方の診療が多くなっております。

次に治療に関するお話となります。

双極性障害1型については気分安定薬や抗精神薬を中心として薬物治療が中心となりますが、2型については薬物治療に加えて、患者さん自身からの治療への協力・参加が必要不可欠になります(もちろん1型でも重要です)。協力具合により薬の量も大きく変わります。以下治療のために必要なポイントを箇条書きにいたしますので参考にして下さい。

病識の獲得

病識とは自分が病気であると自覚している状態のことですが、治療の第一のステップは病識の獲得です。特に2型の患者さんは軽躁状態自体が楽しく、「生き生きとしている」「生きていて楽しい」「これが本来の自分の姿である」と考え、そもそも病気ではないという認知にたびたび至ります。結果として気分安定薬をきちんと内服せず再度きついうつ状態に陥り、苦しくなってきたらまた通院を再開します。苦しんでいるときは助けを求めて治療に取り組みますが、軽躁にもどるとまた「治った」と話し来院しなくなります。さらに治療介入で気分が安定してしまうこと自体が、「波がなくて楽しくない」「こんなの人生ではない」「本来の私ではない、前に戻りたい」と不快感があるようで、軽躁状態を求める方が多いです。しかしながら、軽躁状態を放っておくと何らかのきっかけで長い苦しいうつ状態に陥ることがあります。病識が獲得できないと自身で適切な環境調整や通院をしないため、病気が改善することはほとんどありません。

自分の今の波の位置を常時把握できること

第二点目は、自身の波の位置・状態把握です。躁なのか、軽躁なのか、ニュートラルなのか、うつなのか・・・今の自分の精神状態がどの程度なのか自身で把握することは、大きな治療の助けになります。自己モニタリングともいいますが、第三者的な視点で自分をみつめて評価するメタ認知に通じるものがあります。メタ認知は認知行動療法などの心理療法でよく認められる概念です。診察の中で前回の通院から現在までの大まかな波の動きと現在の波の位置を教えて頂けると診療の大きな助けになります。

ある程度の気分の波は容認すること

第三点目はやや矛盾するようですが、一定程度の波は容認することが重要です。がちがちにコントロールしようとしないで、ほどほど・中庸を目指すのです。本疾患には強迫性障害の併発がたびたびありますが、強迫性障害はコントロール病ともいわれ双極性障害と相反するものです。双極性障害のきちんとしない適当な特性を何とかコントロールしようと後天的にでてきた症状と考えてもいいかと思います。無理やり波をおさえようと強迫症状が2次的に出る訳です。無理やり波を抑えると、その後に大きな反動がきて大きな波になり治療に難渋することがあります。特性に合わせて適度な波は容認する姿勢が重要となります。

波を大きくするきっかけ・刺激を把握すること

第四点目は、事前の予知・想定です。波が大きくなるきっかけ・刺激としてイベント(ライブ、遊園地、帰省)、人間関係の変化(家族の増減、職場の異動・転職、進学・進級)、季節の変化(暑さ、寒さ)、天気の変化(雨)、月経前(女性の場合)、病気(インフルエンザ感染)などがあり、まずは何が自分の気分の波に大きな影響を与えるのか把握することが重要です。地震でも予知が重要となりますが、事前に予測できれば大きな被害を免れることが可能になります。またコントロール可能なイベントであれば、自分の状態に合わせて調整することも重要です。

軽躁状態のときは油断しないこと

第五点目は、軽躁状態のときの心構えです。楽しくても気分安定薬・抗精神薬を使って気分の波を抑えること、きちんと睡眠時間を確保すること、外部からの刺激を減らすこと、過度に仕事や予定を詰め込まないことなどの対応が必要です。動けるときに動こうとして過剰に動く人もおられますが、それは辞めた方がいいかと思います。その後に長いうつの期間が待っております・・。軽躁状態の時ほど、こころは油断しているので注意が必要です。

過剰に内省しないこと

第六点目は他者からの批判に対する心構えです。誰かに批判されても、真に受けないことが重要です。失敗してもむやみに反省や内省はしないことです。失敗は成功の糧とか考えて次の進む方が向いております。受け流すわけです。当院コラムの「診療一般に関すること⇒心的エネルギー(リビドー)について」でも述べましたが、必要以上の内省は、逆に刺激となり気分の波に影響し、自傷行為、他害行為、破壊行為、極度のうつ状態をもたらします。薬の量も増えることになります。繰り返しますが適当に生きることが重要です。

人との距離感に注意すること

第七点目は第六点目に近いのですが人からの影響についての注意です。環境との共振という性質があり、周囲と過剰に仲良くしようとしたり、頼まれごとを断れずに仕事を抱え込んでしまうことがあります。また他者の波や感情を受け止めやすいので注意して下さい。同じような性質の波がある人と仲良くなったり、喧嘩したりで忙しくしております。波人間同士だと楽しいのですが、気分を不安定にしがちです。うれしいから楽しいからといって、むやみに人と戯れることは避けることが望ましいです。また自分のことを必要以上に批判する人を避けることも必要です。喧嘩になるか自爆してしまいます。また家族には特に注意してください。同居しており物理的距離が近いため家族の感情の影響をモロに受けてしまいます。本疾患は遺伝的な要素もあり、家族にも同様の性質をもっている方が多いです。家族の言動が刺激となり、病状を悪化させている方が多いです。

適度な活動をすること

第八点目はエネルギーの処理についてです。エネルギーが強いため、有り余るエネルギーの処理が上手くいかないと、気分の波が大きくなります。適度な活動、仕事、勉強など常に一定程度動いていることが重要です。うつ状態でも必ずしも安静がいいとは限らないのが本疾患の治療では重要となります。何もやることがないと、余計なことを考えて強迫や不安などの症状悪化や衝動的な行動(自傷・性行為・過食・過量服薬・飲酒過多)に走ることもあります。掃除でも運動でもいいので何かしら活動していることが大事です。

きちんと薬を飲むこと

最期に薬についての注意です。勝手に薬を調整している方やうつ状態が悪化して来院できずに結果的に断薬している方がおられます。自身で調整可能な薬についてはこちらからお伝えするので、必ず指示通りに薬を飲んで下さい。通院もめんどうだと思いますが断薬は避けて下さい。

以上の点を深く理解して自分自身が自分の主治医になることが最終的な目標です。

具体的には波の状態をきちんと把握し、季節、PMDDなど気分が何に影響を受けるかきちんと把握でき、環境調整、予定の組み立て方、他者との距離を適切に保て、外部からの刺激をコントロールでき、薬は必要最小限で自分で調整もできる状態です。外来は薬の調整のみで1~3か月に1回以下の通院となるといいですね。

親のエゴの治療への影響について

不登校のケースの場合の進路には以下のようないくつかの道があり、本人の特性、疾病性、性格傾向、学校の対応の柔軟さ、親の経済力などを総合的に分析しフラットな視点で今後の道を選択すること重要です。

・普通高校でそのまま頑張る(留年も含む)

・通信制高校へ転校(転校)

・高卒認定をとる(退学)

・通信制転校+高卒認定

社会に出て就職するのに高校卒業は必要と考えますが、そもそも社会では最終学歴の大学が重要視されるため、大学受験への準備として普通高校のカリキュラムにはやや無駄が多いと考えます。ケースによっては無理な戦い(そのまま通学)をして消耗するよりは「戦略的撤退(転校や退学)」をして次の戦い(大学や専門学校進学)に備えることも重要と考えます。

今後の道の選択の際に家族、特に親の姿勢や態度・意向は本人の道の選択に大きな影響を与えます。本人、親、治療者が同じ方向を向いていれば問題になることは少ないのですが、方向性の相違が大きい場合、こども本人に無用の混乱をもらたし治療経過に悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。

親自身の問題を背景に問題が複雑になっていることがあり、そのようなケースで代表的なものに以下の3つの場合があります。

・経済的な問題や病気などで親自身に生活の余裕がない場合

・親自身のメンタルがそもそも不安定な場合(過剰な不安など)

・親自身のエゴが強い場合

今回はエゴの問題について扱います。エゴはこだわり・執着とも言い換えていいかと思います。心療内科の診療でも、治療過程で患者さんのこだわり・執着が強いとなかなか精神症状が改善しないということがよくみられます。絶対~とか、必ず~とかいう言葉はこだわり・執着と関係が深い枕詞です。

エゴと関係が深いものに、親の人生上の問題をこどもに投影している場合があります。親自身の人生での不全感や劣等感を解消しようと、こどもの人生の成功=自分自身の成功と同一化しこどもの人生に過度の期待をしてしまうのです。どの親でも、ある程度投影することは健全なのですが、過剰な場合こどもの人生に悪影響を及ぼす可能性があります。こども本人の特性や性格は後回しになり、親自身の価値基準が第一に優先されます。親がやたらと学校名や成績にこだわる場合、その背景に投影の問題が潜んでいないか注意が必要です。

逆に子の成功に嫉妬して、こどもの成功を無意識レベルで邪魔するという不思議な現象もあります。無意識化されているため、気付きを得ることは困難を極めますが親自身の自己愛がきちんと形成されていない場合にみられることがあります。

両親の仲が悪い場合や喧嘩が絶えない家庭、アルコール依存症の父親がいるなどの崩壊家庭では、こどもが人の顔色をうかがい過度に周囲に合わせる傾向になることがあります。もともと繊細で優しい性格の場合にその傾向に拍車がかかりますが、これを過剰適応といいます。ネットや書籍ではアダルトチルドレンということばで説明されていることもあります。過剰適応の場合は自身の意向よりも親の顔色をうかがい、親の意向にあわせようします。一見いい子であり問題はありませんが、無理な適応を続けた結果心身に不調(主にうつ状態)を来すことが多いです。アイデンティティの形成がうまくいかず、大人になっても「自分が何者かわからない」と苦悩するケースも多いです。過剰適応のこどもの場合は親のエゴに対してもそれを一生懸命に叶えようとします。反発や抵抗がないため親も気づかない場合が多く、注意深い観察が必要です。

また神経発達症の傾向があるこどもの場合、独特な考え方や行動をするため高校生活で不適応を起こしやすいです。考え方があまりに独特な場合、宇宙人に近いと考えるとわかりやすいです。コミュ障で友人ができにくく、過敏さやこだわりも強いため集団生活そのものが不得手です。無理に頑張ろうとしても、上手くいかない場合が多く通信制高校に転校するなどの環境調整やSST(ソーシャルスキルトレーニング)が治療の主体になります。高校時代に無用なトラウマを抱えるリスクは避けることが望ましいです。神経発達症の方は大人になってもあちこちで不適応を起こすため、本人の特性を早めに見極め、どのような大人を目指すか、あるいは職業を目指すかの方向性を決めてそれに向けて全集中していくのが一番コスパのいい戦略で本人もそれを好むことが多いです。親もこだわりが強いケースが多く、「とにかく普通高校は絶対に卒業すること」に親が執着し厄介になる場合もあります。

話はエゴから少し反れますが、統合失調症の場合はとにかく無理をしないことが望ましいです。統合失調症では、徐々に脳の機能が衰える病気であり、脳への過剰な負荷は厳禁です。現実検討能力の低下から、本人もできないことをできると主張し、普通高校への通学や大学進学を強く希望される場合が多いです。本人に繰り返し説得して負荷の少ない方法や生き方を模索し、福祉の援助もかりつつ将来に備えることが重要です。親の疾病理解も非常に重要です。本人の意向に沿うことで逆に病状を悪化させることがあり、他の疾患とは対処法が異なるためです。過度な負荷は幻覚妄想状態という陽性症状を誘発し脳の機能をさらに低下させるため避けることが望ましいです。

重度の社会不安障害、思春期妄想症では特に同学年の人たちとの接触で過度の不安・緊張が強いられるため、一旦は撤退(転校や退学)することも重要な戦略の一つです。治療としては徐々に他者に暴露していく暴露反応妨害法が有効なのですが、通学したままであると行動実験においての暴露の刺激が強すぎ治療がうまくいかないケースが多いためです。学校側が別室登校やレポートで単位取得を認めてくれるなどの配慮があればいいのですが、一般的には難しいことが多いです。

薬についてもフラットな見方が重要です。薬漬けにされる、薬を1回使ったら辞められないといった伝聞やネット情報に影響され、絶対に薬は飲んではダメといった親もおられます。長期的に使用され一定の効果が評価されている薬については、必要であればきちんと服用すべきです。本来はこどもの病状の回復や将来が重要なのですが、薬の内服の有無に過度に囚われている場合は、今一度俯瞰的に考えることが必要です。

仏典でも、人の苦の原因はこだわり・執着であるときちんと記載されており、その執着が滅した状態が悟りであるとされます。様々な執着(財産、家族、地位、名誉など)とその結果としての苦については過去の仏典で詳しく解説されており、人生の様々な問題を複雑にする根底には執着があると考えます。生きている限り執着を完全に滅することは困難ですが、以下の点を意識して頂くとありがたいです。

・こどもとは、そこそこの距離で関わること(過剰でも過少でもなく中庸を目指します)。

・自分とこどもは別人格であるため、自分の問題とこどもの問題をきちんと分けること

・こどもが精神疾患であれば、その疾患のことをきちんと学ぶこと(ネット情報に過度に依存せず、きちんとした教科書や成書で学習することが勧められます)。

・自分自身の心理的な問題(トラウマなど)や性格傾向にもきちんと向き合い意識すること(特に自分自身に神経発達症の傾向があり、こだわりが強い場合は注意です)。

・老害を避けるため、世の中の価値観や考え方がどんどん変化していることを認め、おおらかで柔軟な思考を心がけること。

・子育て自体が自己の人格的な成熟を促すありがたいものです。こどもという存在に感謝し上から目線でなく謙虚な態度で接すること。

こどもが元気に生きているだけでもありがたいと思うこと。こどもを失うことを想像するだけで、自分の執着の馬鹿馬鹿しさが理解できます。

感情ではなく理性を重視すること。感情を出す時も、きちんとコントロールすること。


以上、診療の中で問題になる親のエゴについてあれこれ記載させて頂きました。こどもの幸せを追求することはどの親でも至極当たり前なのですが、エゴという厄介なものを意識化しきちんとコントロールしていく姿勢が重要と考えます。