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心理士によるコラム

自分を整えるススメ

以下、コーチングを行っている森のコラムです。治療の参考になるので参照ください。

 土台の部分がグラグラとしっかりしていないと、どんなに素晴らしい建物を建てようとしても、積み上がって行かずに、倒れてしまいます。例え建ったとしても、長続きせずに崩れてしまうでしょう。 
 これは、私たち人間も同じで、さまざまな行動や努力をしたとしても、土台が揺らいでいると、どこかで無理が出たり、行動が続かなかったり、不安定さから崩れてしまうこともあるのです。 
 コーチングでは、この土台のことを「自己基盤」「ファウンデーション」と呼びます。 
 自己基盤を整えると、自分の人生を思い通りに描くことができ、行動もできる。結果として、人生の質が向上していくと言われています。 
 私たちは、目標を追うのにあまりにも忙しく、生きていくための強固な基礎(土台)を築くことをないがしろにしがちです。行動ができた、できないなど、アクションや結果に目がいくことが多いですが、自分自身の土台を見つめ、今どうなっているのか、現状に気づき、向き合う機会になったら幸いです。 
 さて、土台が整うとは、どういう状態なのでしょうか? 
土台が整っていると、エネルギーが充満している状態になります。 エネルギーの量は人それぞれに差はありますが、自分自身が自然にもつエネルギーを増やして、さらに多くのエネルギーを持つのは誰にでもできることです。
エネルギーを増やすには、エネルギーが無駄に消費される元を取り除き、エネルギーを与えてくれる元を加えるのです。 
 自分のエネルギーの器があるとします。
 自分との約束や人との約束を破ると器に「ヒビや穴」が開きます。 以下もヒビや穴につながります。


・我慢していること

・やらなくちゃと思ってやっていないこと

・些細な苛立ちの種

・仕方ないなと思っていること

・耐えていること


 その穴の空いた器に、自分が上がることが注がれたとしても 穴が開いている限り、エネルギーは注いでも漏れてしまうのです。 自分を整えるとは、「穴を塞ぐこと」に取り組むことなのです。 
 エネルギーを注ぐのは、他の人でも可能ですが、穴を塞ぐのは自分しかできません。 
 1つ1つ丁寧に穴を塞いでいくことで、エネルギーが充満していくのを感じるはずです。 地道で、地味なのですが、本当に求めるものを得るための第一歩になります。 
 さあ、あなたのエネルギー漏れを起こしている穴はなんでしょうか? 
 「やろうと思いながら、やっていないこと」を思い浮かべてください。
  例えば… …
 予約の取り直しをしようと思っていたけど、まだしていない。振込、支払い期限が過ぎている。 借りた本を返していない。気になっているカーペットのシミ。シーツの洗濯。トイレ掃除。玄関の掃除。など。 1つ見つかると、たくさん出てきます。やろうと思ってやっていないことは、知らず知らずのうちに自分のエネルギーを奪っているのです。 
 クリニックの診察で院長先生から生活リズム(就寝は何時、菓子パンはNG、日中は活動すること等)のプリントをいただき、アドバイスを受けた方もいらっしゃると思います。まさに、これも自分を整えることになります。そこから取り組むのも良いですね。今日は22時に寝られた。スマホを持たずにベッドに入った。やると決めた自分との約束を守ることは、穴を塞ぐことにつながります。
 穴は小さいものから大きいものまであると思います。  急に大きいところからですと、それもエネルギーが必要になりますので、まずは一つ、小さい穴から取り組んでみるのをお勧めします
 一つずつ穴が塞がって、あなたというエネルギーの器にエネルギーが貯蓄されていきますように。 
 コーチである私自身も、穴を見つけては塞いでと、自分を整えています。 なんとなく元気が出ない日や、重く感じる時は、穴がだんだん大きくなっているものです。
 まずは、穴があることに気づき、穴があることでどんな影響が出ているかを知ること、そして、穴が塞がったら、どんな自分がそこにいるのか、想像してみてください。
 私が提供しているコーチングセッションでも、自分を整えることのサポートをしています。 誰かに聞いてもらって、エネルギー漏れを起こしている穴について話すことも、第一歩になります。 
 興味がある方は、HP(https://moritotsukuru.com/coaching/)から確認してみてください。

食養生について

 食養生について心理士沓名がまとめましたので日常の療養の参考にしてください。

 現代は飽食の時代で、街には美味しそうな食品が溢れかえっています。テレビやネットでも、手軽に作れる時短レシピや目にも美味しい映えレシピが目白押しです。一方で、カロリーはあっても体にとって必要な栄養素が不足していたり、必要な栄養素を取り入れるのに、数あるレシピから何を選んだら良いか迷ってしまう事があるのではないでしょうか。

 かくいう私は、料理はなるべくしたくない、自分だけなら冷凍ご飯を温めて、ふりかけをかけて終わらせてしまいがちでした。そのせいか、疲れが抜けない、何となくだるい、胃腸の調子が悪い等の未病の状態が続いていたので、一念発起し、和食薬膳を学んでみました。コロナ禍を挟んで3年間のコースを終え、自分の体質に自覚的になり、どんな食材を取り入れたら良いかが以前よりわかるようになりました。その結果、胃薬等にお世話にならなくても未病状態がだいぶ改善してきました。


 調子が悪いと、医者が何とかしてくれる、薬を飲めば良い、と思いがちですが、自分の体質を理解し、食事等の生活習慣を整えていかなければ、医療は対症療法、その場しのぎで終わってしまう事も多いものです。カウンセリングでは、自分の内面に向き合うことが多いですが、きちんと食べているか、眠れているか等の確認もしばしば行います。内面に向き合うことも大切ですが、それ以前に食事と睡眠といった基本的な生活が土台にあり、それが整ってこそ、心の状態も良い方向に向いていくからです。いらいらしがちだったり、疲れて気力がわかないのは、基本的な生活の乱れが大きく影響している可能性もあります。

 薬膳は中医学の理論をもとに食材を選び調理される食事のことで、医食同源という考え方を重視しています。医食同源とは、「病気を治すのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同じ」という意味です。自分の体質を理解し、体質にあった生活を整え、それでもうまく行かない際、薬等の医療の力を借りるのが望ましいと、私は常々思っています。
 実際には、生活を整えるにしても、仕事や家事、育児、介護等で自分の都合だけではコントロール出来ないという事も往々にしてあるかと思います。その際は、応急的に薬を使って大変な状況を乗り越えるということも必要になるでしょう。しかし、それはあくまで応急的であり、状況が落ち着いた際は、やはり生活を整えることが必要だと思います。

 そこで、食生活を整える上で、参考になりそうな食材を簡単に紹介します。
 体質は人それぞれになりますので、これから迎える冬に合った食材を取り上げます。料理をするのはハードルが高い人も、コンビニや外食でメニューを選ぶ際、意識してみると良いかもしれません。

 冬と関係が深いのは腎です。腎は、私たちの生命活動の源となる勢力を貯蔵し、全身に活力を与える器官(西洋医学の腎臓とは異なります)です。腎が弱ると、生命エネルギーが衰えて、気力、体力、活動量ともに低下し、元気もやる気もなくなるとされています。
 また、腎は膀胱や骨、骨髄、耳とも密接な関係があるため、機能が衰えると尿の出が悪くなり、体の中に余分な水分が滞って、むくみや冷え、貧血、膀胱炎、下痢、腰痛、足腰の衰え、耳なりのなどの症状が起こりやすくなります。そのために、冬は腎を補い、体を温める食材を取ることがおすすめです。

 腎を補う食材:ブロッコリー、カリフラワー、にら、さつまいも、やまいも、うなぎ、海老、たい、
        ほたて、羊肉、豚肉、黒豆、黒胡麻、くるみなど

 身体を温める食材:玉ねぎ、かぶ、にら、しょうが、鮭、海老、牛肉、鶏肉、羊肉、唐辛子、シナモン、紅茶など

 焼鮭、海老入りにら玉、ブロッコリーと胡桃のあえ物、黒豆、玉ねぎの味噌汁等といったおかず、シナモンや生姜がたっぷり入ったチャイなど一品でも取り入れたら、「冬に備えた食事で滋養しているな~。」と、改めて季節や身体に目を向けている自分の食卓が満たされるのではないしょうか。

感情理解における言葉の重要性について

 以下、心理士鈴木のまとめた文章です。治療の参考にして下さい。

 心身相関という言葉があるように、心と体の状態は密接に関わっています。この繋がりについては、ぜひ当院のHPにある「内受容感覚」の記事をご参照ください。本記事では、この心身相関をベースに考えつつ、これを発展させて「感情粒度(かんじょうりゅうど)」という観点から、心を穏やかに保つ方法について考えたいと思います。

 緊張すると心臓がドキドキする、嫌なことがあって何となく胃がむかむかする等、内受容感覚(心拍などの身体内部の感覚)が感情状態に大きく関わっていることが分かっています。では、この感情は私たちの生活の中でどう表現されているのでしょうか。その表現方法の一つに、「感情を言葉にして表す」ということが挙げられると思います。

 「悲しい」「嬉しい」「腹立たしい」など、私たちは多くの言葉を使って、自分の中に生じた感情を他者に伝えたり、自分自身の中で眺めたりしています。カウンセリングでも、今困っていることや悩んでいることなど、心のうちに抱えているものを言葉にして見つめてみることが多いです。

 感情は大まかに、ポジティブ・ネガティブなものに分けられますが、このポジティブ・ネガティブそれぞれの中にも、様々な感情があります。例えば、「悲しい」はネガティブな気持ちだと言えますが、その延長線上には「絶望」があり、反対により強度の低いものとして「嫌な気持ち」などがあるかもしれません。これは「ネガティブ」という感情の種類は同じですが、感情の大きさが異なります

 自分の感じている感情がポジティブか、ネガティブかという判断については、少なくとも同じ文化圏であれば個人差はそれほどありません。ただ、感情の大きさ(強弱)を区別する能力の程度には、個人差があると言われています。このように、生じた感情を細やかに認識することやその程度を「感情粒度」と呼びます。感情粒度が高いということは、感情をより細やかに感じられていることを表します。この感情粒度が高いと、精神的健康を保つことにもつながると言われています。

 この感情粒度の高さには、感情の元である内受容感覚を知覚する能力も関係していると言われていますが、語彙としてその感情の概念を獲得しているかどうかが大きく影響していると考えられています。感情以外で考えてみると、例えば「木漏れ日」という言葉があります。葉っぱから漏れ出ている光のことを指しますが、この言葉は日本語特有の言葉(概念)で、外国語だと一言では言い表すことが出来ません。そのため、「木漏れ日」という言葉を知らない人は、木漏れ日を目で見て知覚することはできますが、その概念を持ち合わせていないため、「木漏れ日」には気づくことができません。感情も同様に、それを言い表す言葉を知っていてはじめて認識することができます。

 上記のことから、感情粒度を高めて生活していくためには、特に感情を表す語彙を増やすことが大切だと言えます。単語を調べる中で、新たな感情語との出会いとともに、自分の中の新たな感情を発見できるかもしれません。おすすめは、外国語を調べてみることです。ドイツ語では「Fremdschämen」(他人の不幸や恥ずかしい行為や失敗する姿に同情する気持ち)、「Futterneid」(食事をしているとき他の人が食べているものがうらやましくて仕方がない気持ち)のように日本語ではなかなか一言では表せない、けれども感覚的に理解することのできる感情語があります。

 特に高校生では、受験勉強の一環として英語の勉強をしていることも多いと思います。受験のためだけでなく、自分の考えや感情の幅を広げ、それまでとは違った世界の見方をすることにもつながると思うと、一層英語学習のやる気も出てくるかもしれません。