診療案内

成人の発達障害外来

発達障害についてのまとめ

どんな病気?

発達障害は近年マスコミなどを通じて一般社会にも良く知られるところとなり、発達障害の診断を希望する患者様は増加傾向にあります。しかし、発達障害の正確な診断には、幼少期から現在に至るまでの詳細な聴取に加え、各種の心理検査や知能検査等も踏まえた多角的な評価が不可欠で、多くの時間が必要となります。定期的な通院の中で、数ヶ月経てから診断に至る場合も多いです。

また、成人の発達障害では、気分障害や不安障害、依存症等の二次障害を併存することも多く、それらの二次障害を主訴として受診に至るため、症状の根幹にある発達障害が見逃されてしまうケースも少なくありません。

原因

この障害の原因には、遺伝子、バイオマーカー、脳内物質の関与など様々なものが指摘されていますが、はっきりしたことはわかっていません。環境ホルモンや腸内細菌の乱れなどとの関連も最近は指摘されております。

症状

発達障害の特徴

アスペルガー症候群(ASD、PDD)

  • 社会性の問題
    他人への関心が乏しい、人との関わりや人の気持ちを理解するのが苦手、表情が乏しいなど
  • コミュニケーションの問題
    冗談や比喩が理解できない、話し言葉が独特、他者と会話が成り立ちにくい、場や表情を読むのが苦手など
  • 想像力の問題
    抽象的な事柄をイメージしたり理解するのが困難
  • その他の特有な症状
    音や臭い、痛みなどの感覚が過敏あるいは鈍感。計算力や記憶力など特異な能力が突出するなど、アンバランス

ADHD(注意欠如・多動性障害)

  • 不注意
    集中して話が聞けない、金銭管理ができない、約束や物を忘れてしまう、ケアレスミスが多いなど
  • 多動性
    お喋りが止まらない、自分のことばかり喋る、落ちつかない、身体の一部を動かすなど
  • 想衝動性
    不用意な発言をする、思いつきをすぐに言動に移す、衝動買いをする、些細なことで叱責するなど

具体的には・・・
相手の気持ちがわからない(仲の良い友人が作れない、少ない)
コミュニケーションが苦手である(言葉の意味を取り違える、文字通り捉えがち)
考え方が柔軟でない(暗黙の了解がわからない、融通がきかない)
独特の思考・行動様式(特定なことにのみ興味を持つ)
注意が持続しない(特定なものにだけ注意が向かう)
感覚の感受性が特別である(音や臭い、痛み等の感覚に関して、敏感だったり鈍感だったりする)
衝撃性が高い(自己抑制が苦手)

発達障害Q&A

Q1心理検査で発達障害かどうか診断したい。

心理検査だけでは発達障害かどうかは診断できません。発達障害かどうかについては、過去の生育歴や現在困っていること、特性などの臨床症状が診断の基本になります。大人の発達障害では基本的に本人が1人で来院するケースが多いため、特に過去の生育歴について忘れていることも多く診断が困難なケースが多いです。心理検査ではAQ、A-ADHD、WAIS-Ⅳなど行いますが、あくまで参考程度の扱いで、心理検査で発達障害の診断をしているわけではありません(内科の採血や画像検査とは全く性質が異なります)。大事なのは臨床症状であることをご理解下さい。

Q2家族や職場の上司から発達障害を指摘されて仕方なく来院した。

このようなケースでは診断できるケースはほとんどありません。本人に症状の自覚がないため、症状の聞き取りをしてもあやふやであり発達障害の症状がほとんど当てはまらないためです。Q1でも申し上げましたが診断はあくまで臨床症状がベースだからですね。 また本人を発達障害であると指摘した方自身のとらえ方の問題などもあります。どうしても診断希望の場合は、指摘した方が一緒に来院することが最低限必要ですが、現実問題難しいことが多いです。

Q3発達障害かどうか白黒つけて欲しい。

白黒つかないケースも多いです。発達障害の特性のこだわりの強さから、0か1、白か黒をはっきりしてくれと強調する方が多いのですが、実際問題グレーゾーンが多いです。職場、家庭、友人関係あらゆる場面の発達障害の特性が強い場合は診断可能かもしれませんが、職場のある部署だけでミスが多いとかなどのケースや家庭だけで特性が強いといったものでは診断には至らないケースが多いです。

Q4心理検査で向いている仕事を教えて欲しい。

難しいですね。もちろんWAIS-Ⅳなど施行して明らかにワーキングメモリーが低いケースでは電話対応が多いコールセンターの仕事は避けた方がいいとか、言語機能が低いケースで営業は避けた方がいいとか、明らかなに向いていないものはわかりますが向いているものはわかりません。本人の性格、人格、徳、粘り強さ、責任感の強さ、思いやり、ストレス耐性などが仕事の向き不向きよりは重要であり、それらは心理検査では評価できません。

Q5通院してコミュニケーションをうまくとれるようになりたい。

これも難しいです。発達障害の方のコミュニケーション障害に関して、年を重ねて社会人経験を積むことでゆっくりと成長していくものです。何度か通院したところで改善するものではありません。

Q6就職のため障害者手帳が欲しい。

発達障害の診断がついて、その特性が強く社会生活上困難が強い場合、2次障害としてはうつ病、パニック障害、躁うつ病、対人恐怖症など合併した場合で継続通院が必要な方でかつ障害の程度が強い方に障害手帳の診断書が作成可能です。制度の主旨がそのようになっているため致し方ないです。
継続した通院はしたくない、通院は必要ないけど手帳だけは欲しいという方については、作成をお断りしております。

Q7そもそも発達障害で通院する理由は?

理由の1つめは2次障害が合併した場合です。発達障害ではうつ病、睡眠障害、躁うつ病、パニック症、強迫性障害、解離性障害など様々な精神疾患の合併が多く認められます。そのような精神疾患の治療のために通院が必要と考えられます。
理由の2つめはADHDの特性がつよく社会生活上困難を抱えている場合です。具体的には不注意症状、多動・衝動症状、実行機能障害、報酬系の障害などが対象になりますが、ストラテラ、コンサータ、インチュニブなどの内服薬で一定の症状改善が得られます。また気分の波が比較的落ち着く方も多いです。このような内服薬の処方が必要な方は定期通院が必要になります。
コミュニケーションがうまくとれるようなりたいといった症状については、心療内科通院で改善することは少ないと思われます。SSTなどのトレーニングや社会生活を継続していくことでゆっくりと成長していくと思われます。