診療案内

うつ病外来

うつ病診療で一番大切なのは、まずは本当にうつ病なのかどうか的確な診断をすることです。診断によって治療の方法や方向性が大きく異なるからです。

現代社会ではうつ病に罹患する人々が急激に増えてうつ病は非常に身近な問題となっています。当院でもうつ病診療は重要な一つの柱ですが、うつ病の治療はただ「抗うつ剤」を処方すればいいといった単純なものではなく、高度な医学知識や治療の経験が必要不可欠です。

うつ病の中でも、初診時に「抑うつ」を主訴に来院される患者さんの3割程度は躁うつ病(双極性障害)であるとも言われており、その鑑別が非常に大切です。また新型うつ病や未熟型・逃避型うつ病といわれ治療が難渋するうつ病も沢山まぎれており、その見極めが本当に難しいこともあります。

どんな病気?

「気分が落ち込んで面白いことや楽しいことがなくなった」
「疲れているわけではないのに体がだるく、とにかく何もしたくない気分」
「常に眠りが浅く疲れが取れず、仕事や勉強に集中できない」
「食欲がわかない、何を食べたらよいのか考えられない」 

など、精神的・身体的な症状が長く続く場合、うつ病の疑いがあります。
しかし、それが治療を必要とする病気なのか、休養を取ればまた元気になる一時的なものかは自分自身で判断することは難しいとされています。

多くの人は、まず精神的な症状よりも身体的な症状に悩み、内科などを受診します。
そして様々な検査を行い、特に異常が見あたらなければ「ひとまず様子を見ましょう」と言われることが多いと思いますが、それでも一向によくならない場合は早急にご相談ください。

うつ病に限らず、どんな病気でも「早期発見・早期治療」が基本です。おかしいかな?と思ったらためらわずに受診しましょう。
ひと昔前であれば、医師も受診される方も「うつ病」を疑うことは多くありませんでしたが、現在はマスコミやインターネットで「うつ病」に関する知識や言葉が身近になり、次第に認識が広まっています。

原因

うつ病の本体は生命感情の低下であり脳が疲労困憊している状態です。。患者さん本人の気持ちの問題ではなく、脳の働きが低下したために症状を引き起こす病気の1つです。脳の機能はまだ解明されていないことが多く、発症のメカニズムも十分に分かっていません。

うつ病は女性に多いといわれていますが、これは女性ホルモンの増加・妊娠・出産など、女性に特有の危険因子や男女の社会的役割の格差などが関わっているのではないかといわれています。また、平均初発年齢は20-30歳の間に高頻度にみられます。

海外では、低学歴・低収入・貧困、無職者にうつ病が多いとされていますが、わが国の調査では社会経済要因との関連ははっきりと証明されていません。そのほか、人生のライフイベント(離婚、死別、その他の喪失体験)、トラウマになるような出来事(虐待、暴力、災害など)、社会的支援、性格傾向(神経症傾向など)がうつ病の危険因子として報告されていますし、急速な都市化が影響するという可能性も指摘されています。

症状

うつ病とは抑うつ状態という状態像を呈する疾患であり、抑うつ状態の主要な症状には以下のようなものがあります。

1. 抑うつ気分

ずっと気分が沈んでしまって「憂鬱だ」「何もしたくない」「落ち込んでいる」「悲しい」など気持ちの落ち込みが長時間持続している状態です。本人の言葉や表情に暗い感情や焦りや疲れが出ているので周囲から見ても気づきやすいです。特に早朝の抑うつ気分が強いのが特徴的です。

抑うつ気分イメージ

2. 食欲の変化

うつ病に罹患すると食欲が低下する場合が多いです。逆に甘い物ばかりを欲しがり過食に走る人も見受けられます。これにより体重が極端に重くなるか軽くなって生活習慣病に罹りやすくなります。

食欲の変化イメージ

3. 興味や関心がなくなる

今まで楽しく行っていた趣味や仕事などに急に関心を持てなくなり意欲が著しく低下していきます。自分から何か行動を起こそうとか周囲の人と触れ合おうとかいう気持ちにならず、自分ひとりの世界に引きこもることが多くなります。

興味や関心がなくなるイメージ

4. 集中力・決断力の低下

注意力が散漫になって集中力が低下していきます。仕事や勉強があまり続けられなくなり、人間関係もうまくいかなくなります。決断力が低下しているにもかかわらず、「自分は何もできない」と悲観的になって、会社を辞めたり離婚を考えたりするので周囲からの心のサポートも不可欠です。

5. 不眠

寝付きが極端に悪くなり、眠りが浅く夜中や早朝に目が覚めたりなどすることが多いです。充分な休養が取れなくなり、病状をさらに悪化させてしまいます。

不眠イメージ

6 動作や動きが遅くなったりする

体の動きが遅くなり、口数も減って声が小さくなったりします。何事にも時間が掛かってしまい、焦るものの何事もうまくいかないようになります。あるいは逆に強い不安を感じるためにじっとしていられず、落ち着きなく焦燥感で体を動かすこともあります。この場合に表面上は元気であるかのように見えるので、周囲の人々はうつ病だと気づきにくい問題点があります。

7. 強い罪悪感を抱くようになる

理由もなく過剰に自分自身を責め、他の人が気に留めていないような些細なことを思い出しては悩んでしまうことがあります。本来自分と関係ないことまで自分の責任のように感じでしまい、「自分はいらない人間だ」と強く思うようになって自責の感情を抱きやすくなります。

8 自殺願望

「生きていることがつらい」「いっそ死んでしまった方がましだ」「死んだら楽になる」などと考えてしまいます。気分が沈みきって何もする気持ちになれない状態では、自殺をする気力もありません。しかし、少し症状が良くなり身体を動かせるようになると、死にたいという感情に従って実行に移してしまおうとすることがあります。死にたいといった気持ちが非常に強い時は、入院することも必要になります。

9. 身体症状

頭痛、めまい、体の痛み、嘔吐、下痢など様々な身体症状を呈する場合があります。うつ病なのに抑うつ症状がはっきりせずに身体症状が主体なものを「仮面うつ病」ということもあります。身体症状へのケアも必要になります。

治療

うつ病の根幹は「脳の疲れ」です。身体の疲れと同じで、疲労なので基本的には「休むこと」で症状は改善します。抑うつ状態とは、脳が疲れて体力が著しく低下した状態であるため、まずは十分な睡眠をとり、脳や身体の負担を軽減することが何より大切です。

また真面目・几帳面・仕事熱心・責任感の強いタイプの方がうつ病が発症しやすい傾向にあります。このタイプの方は、休養をとるということ自体が苦手であったり、仕事を休むことに抵抗感や罪悪感を持っていたりするため、休まずに頑張りすぎてしまい、ますます脳が疲弊していき症状が悪化してしまいます。どうやって休めばいいのかがわからない人が多いのも事実で色々と相談できればと思います。

現在も仕事を持っている方には、積極的に休養・休職をすすめます。どうしても仕事を休めないような場合は、仕事量や就業時間を減らして負担を軽くするようにします。
また、主婦の場合は、家事を分担してもらうなど、まずはご家族と協力しながら心の負担を減らすことが大切です。

並行して、薬による治療も行います。(単極性)うつ病の場合は主に抗うつ薬による治療が中心となります。抗うつ薬は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンという神経物質の働きを高めて、抑うつ気分、不安や緊張、焦燥感を取り除くというような効果を現します。様々なタイプの薬があるので、漢方療法を含め一人一人の症状や状況にあった薬を使います。また、双極性障害(躁うつ病)の場合は、単極性うつ病とは薬物療法が大きく異なるので診断が非常に大事になります。また服薬はすぐに効果が現れるわけではなく、個人差はありますがまずは2週間の期間が必要です。

通常であれば、3ヵ月から半年くらいである程度うつ病の症状もよくなりますが、その後も継続的に服薬を続けることが必要です。治ったと思って自分の判断で服薬をやめてしまうと、うつ病の症状が再発してしまい慢性化してしまうおそれもあります。

うつ病 時間と重要度の関係

また最近話題になっている新型うつ病については従来の古典的なうつ病とは異なり、薬物療法で治りにくいといわれております。環境調整や(うつ病では禁忌とされた)励ましなども有効とされ、不必要な休職で症状が余計に悪化するリスクもあり注意が必要です。

人によっては心理療法や精神療法も非常に有効です。当院でも必要に応じて積極的にカウンセリング治療を取り入れていきたいと考えております。

カウンセリング治療