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「なんと言えばいいか分からない」を減らすコミュニケーションスキル
2026年6月3日
以下、心理士 岩崎の記事です。診療の参考にして頂ければと思います。
「そんなつもりで言ったんじゃないのに、なぜか相手を怒らせてしまった…」 「本当はこうしてほしいのに、嫌われるのが怖くて結局自分が我慢してしまった…」
日常のなかで、こんな風に頭を悩ませたことはありませんか?
パートナーに「なんでいつも脱ぎっぱなしなの?」と言って喧嘩になったり、友達に「約束くらいちゃんと守ってよ!」と伝えて気まずい雰囲気になったり。「こうしてほしい」と自分の思いを伝えているだけなのに、なぜか関係をこじらせてしまうことが度々起こります。
本当はただ「片付けてほしい」「約束を守ってほしい」ということを伝えたいだけなのに、相手に攻撃・非難と捉えられてしまう。
あるいは、揉めたり不快にさせたりするのが嫌で、自分の意見を飲み込んでしまう。そもそも、どうやって伝えれば相手に伝わるかイマイチ分からない…。
そんな悩みを解決してくれるのが、アサーションというコミュニケーションスキルで利用される「DESC(デスク)法」です。
アサーションは「自己主張」と訳されることも多く、言葉を聞くと自分勝手に主張する印象を受けますが、本来のアサーションとは自分も相手も大切にするコミュニケーション術のことです。
DESC法は会話を4つのステップにはめ込むことで、自分の伝えたいことを相手に配慮しながら伝えることができるスキルとなります。
ぜひ日常生活で活用して、自分も相手も大切にする素敵なコミュニケーションを取っていきましょう。例えがあった方が分かりやすいと思うので、今回は「もしも時間にルーズな友達に『せめて無断遅刻は止めて欲しい』と伝えるには」というシチュエーションで考えてみましょう。

ステップ1:【D】Describe(事実だけを言う)
まずは主観や感情は横に置き、双方が「確かにそうだ」と納得できる客観的な事実だけを伝えます。
- NG: 「また遅刻?本当にいつも遅刻ばかりしているね!」(実際そうだったとしても、感情的に伝えると相手は反発したくなります)
- OK: 「今、約束の時間を20分過ぎているよね」
ステップ2:【E】Express(自分の気持ちを言う)
事実に対して、「自分がどう感じたか」を表現します。コツは「あなたが悪い」と相手を責めるのではなく、「私は〜と感じた」という「私(I)」を主語にして伝えることです。
- NG: 「あなたって本当にルーズね!」
- OK: 「連絡がないから、何か事故にでも遭ったんじゃないかと私は心配したよ」
ステップ3:【S】Suggest(具体的な提案をする)
相手にどうしてほしいのか、「具体的かつ実行しやすい解決策」を提案します。命令するのではなく、「〜してくれると助かるな」と相談するスタンスがポイントです。
- NG: 「これからはちゃんとして!」(具体的にどうすればいいか分かりません)
- OK: 「次からは、遅れそうだと分かった時点で1本LINEをくれると嬉しいな」
ステップ4:【C】Choose(選択肢を持つ)
多くの人は、提案をしたら相手がそれを受け入れるだろうとどこかで思っています。ですので、自分自身の提案を拒否されると混乱し、感情的になりやすくなります。
しかしアサーションは自分も相手も大切にするコミュニケーションスキルですから、相手の意見も尊重しなければなりませんね。
提案を拒否されたときに感情的にならないために、自分の提案に対して相手が「Yes」の場合と「No」の場合、それぞれどうするかをあらかじめ考えておきます。
- Yesの場合: 「わかった、次からそうするね」と言われたら、「ありがとう、助かるよ!」と感謝を伝えて終わりです。
- Noの場合: 「どうしても連絡できないときもある」と言われたら、「じゃあ、家を出る前に一度連絡をしてもらうのはどうかな?」と次の提案に切り替えます。
DESC法を用いたアサーティブな表現
この4つを繋げてみましょう。
「約束の時間を20分過ぎているよね(事実)。連絡がなかったから、私は何かあったんじゃないかと心配したんだよ(感情)。次からは、遅れそうだと分かった時点でLINEを1本くれるかな(提案)?」
→(相手から「難しい」と言われたら)「 それなら、家を出るときに連絡をもらえると嬉しいな(選択肢)」
この文章を見てどう思われたでしょうか。「なんで遅れるのよ!」と感情的に伝えるよりも、こちらの要望が真っ直ぐ相手に届く気がしませんか?

「言い方の型」が、あなたの気持ちを楽にする
私たちは、自分の心を守るために「我慢する」か、自分の意見を通すために「強く出る」かの二者択一になりがちです。しかし、どちらを選んでも心にはトゲが残ってしまいます。
自分の意見を伝えられ、かつ相手との関係も大切にするDESC法は、そのトゲを最小限に抑えてくれるでしょう。
このコミュニケーションの型に慣れるまでは「事実ってなんだっけ」とか「提案を考えるのが難しい…」と感じるかもしれません。
しかしこの方法はスキルです。自転車に四苦八苦しながら乗れるようになったように、最初は何も分からなかった仕事やバイトのやり方を覚えていったように、使っていくうちに段々と慣れていきます。
ぜひこの便利なスキルの扱いに慣れ、日常生活をよりよいものにしていって下さいね。