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病態水準と治療方針の関係について

 病態水準とはカーンバークによって提唱された精神分析の概念です。精神症状はその重症度によって神経症レベル、境界例レベル、精神病レベルの3つの病態水準に分類可能です。そのレベルにより対処方法・治療方法が異なりますので、病態水準の評価は治療計画を立てる上で重要な指標となります。どうしても薬(精神科薬)を使いたくないとおっしゃる方がおられますが、病態水準により投薬は必須です。

 神経症レベルの疾患としては不安障害、パニック障害、心身症などの比較的軽症の精神疾患があります。このレベルであれば認知行動療法、暴露反応妨害法などの心理療法で対応可能なことも多いです。薬物療法については必須ではありませんが併用することが多く有効です。

 境界例レベルの疾患の代表的なものは強迫性障害です。強迫性障害は強迫スペクトラム症の一疾患です。強迫スペクトラム症の中に自己臭恐怖、醜形恐怖、心気症、摂食障害などの疾患があります。境界例レベルでは基本的に薬物療法は必須です。このレベルの方は薬物療法自体に恐怖を覚えることが多く、心理療法や漢方薬のみでの治療を望む方がおられますが、薬物療法は必須と考えます。薬物療法に加えて、暴露反応妨害法などの心理療法を追加しております。このレベルでの方で薬物療法に強い抵抗がある方について、当院では対応困難が予想されます。ご予約の際はご注意下さい。

 精神病レベルの疾患の代表的なものは統合失調症です。薬物療法が中心となり心理療法を併用することはほとんどありません。ただし疾病理解のための心理教育を行うことは必要です。

 うつ病・双極性障害については病態水準がその時々で変化します。そのときの病態水準や状況によって対処方法は異なりますが、薬物療法と心理療法を組み合わせて対応することが多いです。

 以上簡単に病態水準と治療についてまとめました。