お知らせ
患者家族の望ましい態度について
2023年9月16日
患者家族として本人にどのように接したらいいかよく質問されるのでお答えします。
もともと統合失調症患者の家族研究でいわれていたHEE(high expressed emotion)という概念があり参考になります。本人のことを気にして過度に干渉しすぎたり、病的な行動に対して感情的な表現を強く示す家族をHEE家族といいます。HEE家族の場合、服薬を継続していても統合失調症の再燃率が高いといわれております。
HEEを参考に統合失調症以外の精神疾患の患者でも家族としてあるべき姿は以下の3点です。
・病気のしくみを知ること
本人の病気を一般的な書籍やネットで勉強することが重要です。その際に「薬を使わないで完治可能!」「精神病は病気ではない」云々の偏った情報に惑わされないで下さい。もし可能であればきちんとした精神医学の教科書で勉強してみるのもいいかと思います。
・まずは落ち着くこと
どうしていいかわからず混乱し、落ち着かない(精神科領域では不穏といいます)家族も多いです。パニックになり、患者さん本人より深刻な症状を示す方もおられます。まずは自分自身をニュートラルな精神状態で安定させることです。自身の安定がひいては、本人の精神症状の安定につながります。場合により自身が心療内科・精神科を受診し、必要なら薬物治療や心理療法を受けることも重要です。
・HEEにならないこと
以上の点をクリアした上で、本人に対して不用意な刺激をしないこと、相手を無理に変えようとしないことが重要です。わからなければ余計な助言やアドバイスも必要ありません。本人とは適切な距離をとりつつ自分自身の仕事や家事をたんたんとこなしていくことです。知性・理性的な態度を大事にして、相手を変えようせず、自分自身のこころの問題、捉え方の問題であると意識して下さい。