診療案内

休職から復職への流れ

適応障害やうつ病により就労継続が困難になった場合の、休職から復職に至るまでの一般的な流れについてご説明いたします。

1. 診断書の作成

精神症状や職場環境から休職が必要となった場合、多くの会社では「診断書」の提出が求められます。当院では、必要に応じて即日診断書(税込3,300円)を作成しております。
休職期間はケースバイケースですが、適応障害の場合は「1か月弱の自宅安静」、より病状の重いうつ病の場合は「2〜3か月の休職・自宅安静」と指示することが多いです。

2. 休職中の通院・休養の仕方

休職中は、1〜2週間に1回のペースで通院していただきます。

・休職中の給与について:有給休暇が残っている場合は「有給消化」、残っていない場合は「病気休暇(欠勤)」という扱いになることが多いですが、ルールは会社によって異なります。
・傷病手当金について:病気休暇中、健康保険から「傷病手当金」が支給されるケースが多くあります(※就職してからの期間などにより制限があるため、事前に会社へご確認ください)。支給には専用の申請書への医師の証明(診断書)が必要です。作成費用は3割負担で300円程度です。

傷病手当金に関する重要な注意点(以下の3点)

定期的な通院(月2回程度)が必須です。
未来の日付での証明はできません。(例:6月4日の通院日に、7月末までの分を先にお書きすることはできません。通常は、前月末である5月31日分までを遡って作成します)。
必ず医師の指示に従って療養生活を送ってください。 過去に、自己判断で通院を中断し、薬局の薬だけで療養されていたケースで、傷病手当金の支給が取り消しになった事例がございます。

傷病手当金

休職中は、当院Webサイトの「不適応・過剰適応」「うつ病」などのページもぜひご参照ください。休職中は脳をしっかりと休めることが非常に重要です。

3. 復職への準備

精神症状が一定程度回復したと判断された場合、復職へ向けた準備を開始します。

回復の目安(以下の2点)
1. 十分な睡眠がとれ、生活リズムが規則的であること
2. 午前中に家事や散歩などの通常の活動ができていること

多くの方は復職に至りますが、症状が回復したにもかかわらず退職を選ばれる方もおられます(職場の環境調整や人間関係の修復が困難な場合、業務量・質の調整ができない場合、社内に復職リハビリ制度がない場合など)。
この時点で、職場に対して配置転換の可否産業医面談の有無社内の復職リハビリ制度の有無など、復職までの具体的な流れを確認しておいてください。

4. 復職リハビリテーション

休職状態からいきなり通常の出勤状態に戻ることは難しいため、一定期間の心身のリハビリ(3つのパターン)が必要になります。

① 自分自身でリハビリを行う場合
生活習慣を律し、ご自身で計画を立ててリハビリを行います。午前中に図書館やカフェに行き、模擬業務や仕事関連の勉強をしたり、職場への通勤訓練を行ったりします。
当院でお渡しできる「生活リズム表(記録表)」を活用しながら、以下の「スムーズな復職のために」のチェックリストをすべて満たすことを目指します。

スムーズな復職のために

<復職に向けてのチェックリスト>

不安感や抑うつが回復し、意欲が少しずつでてくると、職場復帰を考え始めると思います。休職中の方の多くは、ほとんどの時間を自宅で過ごされるため、通勤していた時に比較して活動量が大きく低下しております。スムーズな復職のためには、休職中でも出勤を意識したリハビリが必要になります。
まずはゆっくりと休養し、生活リズムを十分に整えて下さい。別にお渡しする「生活リズム表」の作成も併せて行ってください。
具体的に取り組んでおきたい事項について下記のチェックリストに挙げていきます。これらの事項が無理なくできるか確認されてから、復職可能の診断をしたいと考えております。
また復帰リハビリテーションという制度のある会社も多いので、職場の上司・人事課・産業医の方と相談し可能であればその制度も是非ご利用下さい。

【就業を意識した生活リズムを整える】

□ 通勤時間に合わせた時間帯に起床・就寝ができますか?
□ 日中、昼寝をせずに起きていられますか?
□ ウォーキングなど適度な運動ができますか?(1日5000歩程度)
□ 身だしなみを整えて外出ができますか?
□ 日中、図書館などの公共の場で過ごすことができますか?
□ 通勤の練習は可能ですか?実際に会社に時間通り行けますか?
□ 業務に関連した内容の新聞記事、雑誌、書籍、Webサイトなど集中して読めますか?

【復職に当たっての心構え】

□ 職場復帰をしたい、仕事をしたいと自然に思えますか?
□ 休職に至った原因・背景について自分なりに分析はできていますか?自分なりの対処はできますか?
□ 再発予防について考えていますか?(物事のとらえ方を見直す、相談を早めにするなど)

生活記録帳

② 会社でリハビリを行う場合
会社に制度がある場合、午前中または午後の短時間勤務から開始し、1か月程度かけて段階的にフルタイムへ戻していきます。定期的に産業医面談などを挟みながら、負担の調整を行います。

③ 外部のリワーク施設を利用する場合
社内にリハビリ制度がなく、ご自身だけでのリハビリが難しい場合は、外部の「リワーク施設」を利用します。医療系と福祉系の2種類があり、特徴が異なります。

福祉系リワーク(具体例:リワークセンターRodina
メリット: 個別対応が多く、期間(1〜数か月)や利用時間(午前のみ等)のフレキシビリティが高い。
デメリット: 利用にあたり役所の許可が必要で、開始までの手続きが煩雑です。役所の許可が下りないこともあります。利用には当院からの診断書が必要となります。

医療系リワーク(具体例:横浜市総合保健医療センター
メリット: 役所の許可が不要で、スムーズに開始できます。
デメリット: 集団(グループ)で行うプログラムが多く個別対応には劣ります。また、期間が数か月と固定されていることが多く、利用には当院からの診療情報提供書が必要です。

5. 復職直前の準備

復職リハビリを経て復職可能となった時点で、復職可と記載した「診断書」または「主治医意見書」を作成いたします。会社によっては復職時の診断書が不要な場合もありますので、事前に人事や上司へご確認ください。
また、復職前に会社の産業医との面談が必要になるケースがほとんどです。配置転換や異動、業務内容の調整が必要な場合は、本人・産業医・人事・上司との話し合いを経て決定されます。調整に時間がかかる場合は、必要に応じて休職期間の延長措置をとらせていただきます。

6. 復職後

復職後は月1〜2回の通院となり、問題なく出勤が継続できていることを確認して終診(治療終了)となります。
なお、うつ病などで薬物療法を行っている場合は、復職後の状況に合わせたお薬の調整が必要となるため、一定期間は定期的な通院を継続していただきます。

両立支援制度について

病気の治療を続けながら、安心してお仕事を続けていただくための新しい制度についてご案内いたします。

労働施策総合推進法の改正(令和8年4月1日施行)に伴い、企業には「治療と就業の両立支援」への取り組みが求められるようになりました。これに合わせ、令和8年6月の診療報酬改定において『療養・就労両立支援指導料』が新設され、これまで自費扱いだった会社との情報交換が「保険診療」で対応可能となりました。

従来の自費の診断書に比べ、患者様のご負担費用が軽減されますので、ぜひご活用ください。

ご利用の手順と注意点

ご利用の手順と注意点

厚生労働省の「治療と仕事の両立支援ハンドブック」に基づき、当院では以下の通り対応いたします。

・勤務情報提供書の配布:会社にご記入いただく「勤務情報提供書」のひな形(フォーマット)をお渡しすることが可能です。ご希望の方はお気軽にお申し付けください。

「勤務情報提供書」のひな形(フォーマット)

・費用の目安(窓口負担金):これまでは、会社とのやり取りに伴う診断書作成に3,300円〜5,500円(1〜3ヶ月ごと)の自費費用がかかっておりました。本制度をご利用の場合、健康保険が適用され、窓口でのご負担は以下のようになります。

  • 初月: 3割負担:2,550円 / 1割負担:850円
  • 2〜6ヶ月目: 3割負担:1,500円 / 1割負担:500円
  • 診断書・意見書の費用について: 本制度の利用期間中(6ヶ月以内)に発行する対象の診断書・意見書の費用は、上記の金額に含まれるため、追加の自費費用はかかりません。

【重要】費用に関する大切なご注意点

・診断書を発行しない月の費用について
本制度は「継続的な指導・支援」に対する評価となるため、診断書や意見書を発行しない月であっても、上記の月額費用が発生いたします。
そのため、通院費用の総額を抑えられる「自立支援医療制度」のご利用をおすすめしております。手続き等についてはお気軽にスタッフへご相談ください。

・制度の利用期間(6ヶ月)を超えた場合について
休職期間が長引き、本制度の対象期間(6ヶ月)を超えて診断書や意見書が必要になった場合は、以降は「自費」での対応となります。
ただし、患者様のご負担を軽減するため、期間終了後であっても復職に至るまでは以下の通り通常よりも減額した費用で対応させていただきます。

  • 診断書: 通常 3,300円 ⇒ 2,750円
  • 意見書: 通常 5,500円 ⇒ 4,400円

コーチングについて

今後の就労についてお悩みの方について、カウンセリングとは違うコーチングを受けることも可能です。必要な方はコーチングもご利用下さい。