お知らせ
不眠症の薬物治療について
2022年6月22日
多忙に過ごされている方が多い現代は、不眠症で悩まれている方が数多くおられます。睡眠の質をよりよくするといわれるヤクルト1000が売切れていることからも、多くの人が睡眠をうまくできずに困っていることがわかります。
ここでは当院で主に処方する不眠症の薬物治療について簡単にまとめようと思います。
睡眠は覚醒と鎮静のバランスにより制御されております。入眠時に覚醒系を弱めて鎮静系を強めることで、速やかに睡眠に入ることが可能になります。薬としては大きく3つのカテゴリーの薬があり以下の部位にそれぞれ作用して睡眠作用を発揮します。

当院では主として下記の薬剤を患者様の状態・年齢に合わせてオーダーメイドで処方させて頂いております。私自身にも不眠症があり様々な薬剤を状態に合わせて内服しているのでより効果的なアドバイスができると思います。
オレキシン受容体拮抗薬
作用機序:過剰に働いている覚醒系を抑制する。
効果:効果や持続時間について個人差大きい。睡眠を維持し中途覚醒を抑える働きが期待されるが、デエビゴは入眠を促進する働きもあり。
副作用:傾眠、悪夢など。
薬剤名:
ベルソムラ10㎎・15㎎・20㎎



デエビゴ2.5㎎・5㎎・10㎎

メラトニン受容体作動薬
作用機序:体内時計を調整して、覚醒と鎮静(睡眠)のバランスを整える。
効果:効果や持続時間について個人差大きく効果をほとんど感じない方もいる。時差ぼけなどに一定の効果あり。
副作用:傾眠、頭痛など。
薬剤名:
ロゼレム(ラメルテオン)8㎎

GABA受容体作動薬
作用機序:脳の興奮を抑えるGABAという神経伝達物質の働きを促し、鎮静(睡眠)を促進。
効果:各種薬剤により半減期が異なり持続時間は薬次第である。効果については個人差があまりなく外れが少ない。
副作用:傾眠、ふらつき、依存性、離脱症状。苦味(ルネスタ)が強いものがある。
①非ベンゾジアゼピン系
超短時間型:半減期2~4時間であり睡眠途中で効果はなくなる。
ルネスタ(エソゾピクロン)1㎎・2㎎・3㎎

マイスリー(ゾルピデム)5㎎・10㎎


②ベンゾジアゼピン系
短時間型:半減期6~10時間で朝までもつことが多い。
レンドルミン(ブロチゾラム)0.25㎎

リスミー(リルマザホン)1㎎・2㎎


中間型:半減期12~24時間で次の日まで眠気が残ることがある。
サイレース(フルニトラゼパム)1㎎・2㎎


ベンザリン(ニトラゼパム)2㎎・5㎎・10㎎


抗精神薬・気分安定薬
睡眠薬ではありませんが、上記の薬剤で治療困難な不眠症や悪夢が多いなどの場合に使用することがあります。効果や副作用が強いものがあるので内服方法については主治医の指示に必ず従ってください。
セロクエル(クエチアピン)12.5㎎・25㎎・100㎎・200㎎


リボトリール0.5㎎・1㎎・2㎎


漢方薬
漢方薬の中のいくつかは不眠症に対して適応があります。西洋薬に比較して効果は弱いですが、併用すると睡眠が深くなるなど一定の効果は認められます。
酸棗仁湯:植物のナツメが入っている。睡眠が深くなる。

加味帰脾湯:高齢者の不眠などに有効

抑肝散化陳皮半夏:こどもの夜泣きなどに有効。
