お知らせ

うつ病の診療の流れ 再発予防

2021年6月3日

今回のうつ状態の再発予防についてお話させて頂きます。

「うつ病を初発した患者の約50~60%が二度目のエピソードを生じ、再発を繰り返すごとに、再発率が上がる(患者の半数は5年以内に再発する)」というデータがあります。特に再発を繰り返すごとに病相はながくなる、つまり治りにくくなるといわれております。足の骨折でも同じで骨折を繰り返すと複雑骨折などのややこしい病態になりますよね。とにかくうつ状態・うつ病の再発を予防することは非常に重要です。以下に再発予防のために必要なことをまとめます。


うつ状態についてよく理解し自身の調子をモニタリングすること

まずはどのような症状が「うつ状態」であるのかしっかり把握することが一番大事です。以前に書いたうつ状態の症状について大まかに把握することはもちろん、ご自身で前回どのような症状がうつ状態の兆候であったかを覚えておくことが重要です。何かしら兆候があったら以下に述べる早期対応が重要です。兆候として多いのは、不眠、朝の気分不快、不安・イライラなどの症状です。寝つきが悪くなって、朝起きてもパッとせず、ちょっとしたことで不安・イライラしだしたらうつ状態が始まっている可能性があります。またこれらの症状を常にモニタリングすることも大事です。

とにかく睡眠・睡眠・睡眠!

うつ状態の症状で不眠がありますが、不眠が強くなると脳が休まらずうつが強化されます。うつ状態の治療の一番は十分な質のよい睡眠を確保することなので、薬の内服・自律訓練法・リラクゼーションなど様々なものを駆使して十分な睡眠を確保することがうつ状態の再発予防にはとても重要です。自律訓練法は当院の心理士が行っておりますのでご相談下さい。

自宅に薬を備蓄しておきセルフメディケーションを行う

いざというときの脳を休める薬(Bz系の薬)や眠剤を2週間程度備蓄しておくことをおすすめ致します。うつ状態の兆候があった場合、家に薬があればまずそれらの薬でセルフメディケーションを行い脳を休めることで早期に対応が可能になります。数日セルフ対応しても駄目な場合はクリニックへの受診が必要と考えます。

何かあればすぐにクリニック受診を(電話で予約できます)

セルフ対応しても改善しない場合、あるいは薬をなくした場合、うつ状態かどうか客観的な指標を得たい場合などは電話で予約して来院下さい。火曜日~土曜日の診療時間に連絡頂ければ基本的に当日対応致します。

職場で相談体制を構築しておく

会社員であれば職場での相談体制の構築も大事です。調子が悪いときに、早引きするとか、有給をとれるとか、業務量を減らしてもらうことなどの対応が早期にできることが望ましいです。普段からの上司や同僚との円滑なコミュニケーションが必要になりますが、会社によっては全く配慮などしない所もありますので難しいところもあります。

認知行動療法(CBT)をマスターする

認知再構成法により自身の元々の偏った認知、否定的認知に気付きそれを修正することで考えすぎて思考の罠にはまることを防げるようになります。自身の行動パターンを意識化して俯瞰することなども重要です。メタ認知や第3の目ともいいますが、他者や天からの視点で物事を捉えることで思考や行動パターンを脳にとって負担に少ないものに変えるといったイメージです。当院でも施行しておりますが、時間がない方などは適当な書籍を購入して読んでもいいのかなと思います。うつ状態の再発予防には効果があるといったエビデンスもありますので再発予防には重要なツールの1つです。

以上うつ状態の再発予防についてまとめました。ただし再発予防において「無理をしない」ことが最も重要であることはいうまでもありません。