お知らせ

当院で施行している心理検査の紹介

2021年5月11日

当院では心理士によりいくつかの心理検査を施行しております。目的は様々で病態水準を知るものから深層心理を知るものまで多岐にわたります。基本的には保険診療で行いますが一部予約料がかかります。

●風景構成法とは?

風景構成法は、1969年に精神科医の中井久夫氏によって創案されました。投影法による心理検査、芸術療法の中の描画療法としても活用されています。

風景構成法では、イメージ・表象機能を介して,被験者の抱く心のなかの風景(心象風景)を三次元から二次元へ変換して1枚の紙の上に描いてもらうことで,その人の人格特性をみるというものです。この風景構成法は、河合隼雄氏によって日本に導入された箱庭療法に示唆を得て創案されました。当初は,統合失調症患者への非言語的接近法として用いられていたほか、箱庭療法の使用の可否を検討する予備テストとして使用されていました。現在では、病院臨床の領域はもちろん、教育相談、児童福祉心理臨床の領域、司法関係の領域など、バウムテストとともに広く普及しています。

解釈には、ユング心理学や箱庭の解釈仮説等の知見が用いられます。描画法は本来多義的であり、一義的に判断するものではないという特性を踏まえ、検査者とのやりとりを通して自己理解・自己受容に役立てていくと良いでしょう。

●バウムテスト(樹木画)とは?

バウムテストは、スイスのコッホ(Koch.K 1952)が精神診断の補助手段として考案しました。スイスでは、当時すでに樹木画を、それを描いた人のパーソナリティの表現とみなし、職業適性検査や臨床心理検査に用いていました。しかし、その解釈は経験的直観に頼る場合が多かったそうです。コッホは樹木画の豊富なデータから、樹木画の特徴のなかにいくつかの普遍的な意味を見つけ出しました。彼はそれに樹木のもつイメージの文化史的・神話学的研究成果などの考察を加え、バウムテストを体系づけました。

では、どうして樹木画が、性格テストとして活用されるのでしょうか。コッホは「木の法則は内なるものを外に押し出すことであり、人間の心がその法則に従うのである。(中略)われわれは、樹木画が人間存在の何を描き出すのかのおおよそを知ることができる。それは、深層とごく表層のみごとの混合である」と述べています。木は大地に根を張り、そこから養分を得て天に向けて成長し、やがて枯れて朽ちていくというように、人間の生涯と同じようなプロセスをたどります。そして、形態的にも左右がほぼ対象で、内から外へ向かおうとする動きをもつなど人間とよく似ています。こうしたことから、樹木画には、意識・無意識を含めた自己像の一部が、ひいてはパーソナリティの全体性が反映されやすいと考えたのです。とはいえ、コッホはあくまで樹木画を、「精神診断のための補助手段」と位置づけており、「われわれは限界を知っていなくてはならず、心のすべてが表現されていると判断してはならない」とも述べています。

●ロールシャッハテストとは?

スイスの精神科医であるヘルマン・ロールシャッハが1921年に考案した心理テストです。ロールシャッハは、子どもの遊びからヒントを得て、インクの染みが精神疾患の診断に用いられないかと研究を重ねました。インクを落としてできた様々な模様の図版の中から10枚を選び出し、さらに印刷所のミスによる図版の陰影をも有用であると判断して取入れ、現在の図版ができあがりました。このように偶然にできた図版が、私たちの心理的世界を巧みに映し出す刺激要素となり、パーソナリティの特性を知ることができる検査となっています。

現在、この図版は世界中で規格が統一され、勝手に図版を作成して検査に使用することは禁止されています。ロールシャッハテストはこれまで様々な研究が行われ、その信頼性と妥当性が繰り返し議論されています。検査の結果には個人差があるので、パーソナリティ検査として普遍性に欠けると指摘される一方で、パーソナリティの特性を知るためのツールとして有効であると実証されているのも、また事実です。

この検査の実施時間は、1~2時間程です。図版を見て、その図版が何に見えるかを答えていきます。正解や不正解はないので、見えたように自由に答えて下さい。検査によって考察できることは、思考様式・感情状態・対人関係・行動パターン等多岐にわたります。検査を通して自分の特性を知り、自分が現在抱えている問題・困っていることにどう影響しているかを考えるのにお役立て下さい。