お知らせ

トラウマ診療について

2021年4月2日

精神症状の中でトラウマ(こころの傷)が関連するものは多いです。有名なものはPTSDですが、うつ病、不安症、摂食障害なども併発することが多く、慢性化するケースがほとんどです。

最近の治療の考え方として、トラウマ記憶自体が身体化している、つまりsomaticな問題であるとするものがあります。よって治療の方法論としても身体的なアプローチが必要になってきます。

有名なものはEMDRといってトラウマ記憶を想起しつつ眼球運動をすることで処理をすすめるといったものがあります。

当院でもいままでは薬物療法を中心にカウンセリングなどを併用して治療して参りましたが治療に行き詰まるケースも多いため、心理士の先生と協力してsomaticな療法も併用することにしました。具体的には下記にあげるBCTを併用する方針です。

トラウマ関連の診療について診療案内に内容を掲載させて頂きましたので参照下さい(同内容のものを下記に示します)。

□ どんな病気?

PTSDとは、トラウマ(心的外傷体験)にさらされたことで生じるストレス症候群です。

私たちは生死にかかわるような出来事を体験したり目撃することにより強い恐怖を感じるものです。

しかし、通常であれば自己治癒力や周囲からのサポートにより数週間(4週間以内)のうちに記憶が整理されて恐怖が薄れ、その体験が過去のものとして認識されるようになります。

これに対して、PTSDと診断される方は記憶の整理(脳)に異常が生じており、体験を過去のものとして認識できずに大きな傷(トラウマ)として様々な精神的・身体的問題を抱え続けている状態とされます。したがって、PTSDとはこころの問題というより脳(からだ)の問題といえます。

□ PTSDになりえる出来事

・災害

・虐待

・ハラスメント

・性被害

・DV

・いじめ

・交通事故    

などが挙げられます。

また、PTSDの発症にはそのきっかけとなる出来事の前後に起こったことや、個人の体質、気質、社会的な要因など様々なものが影響を与えることもあります。

□ PTSDの3つの中核症状

再体験(侵入)症状:トラウマ体験に関する記憶が戻ったり(フラッシュバック)、悪夢として繰り返され、動悸や発汗などの身体生理的反応が生じる。

回避・精神麻痺症状:トラウマ体験を想起させる出来事や状況を避けたり(想起刺激の回避)、体験の一部を思い出せない・感情反応が収縮するなどの精神活動の低下がみられる。

過覚醒症状:ちょっとした刺激にもおびえるような精神的緊張状態となったり、過剰な警戒心を抱いたりするほか、集中困難やイライラ、不眠などの症状が現れる。

☐ 治療

当院では、患者様、医師、心理士のコラボレーション(協働)により治療を行なっていきます。ここで重要な点は、患者様自身も自らを治療者として治療に協力してもらうという点です。

治療の中で過去を想起する必要もあり激しいトラウマ症状(フラシュバック、驚愕反応、過覚醒症状、不眠)がでることがあります。医師の診察では激しいトラウマ症状を緩和するための薬物治療を中心に行い対応して参ります。

心理士の心理療法としては、ボディ・コネクト・セラピー(BCT)を用いてトラウマ処理を行って参ります。当院がBCTを選択している理由は、第一に耐性の窓の枠を大幅に超えることなく、安全で素早く処理を進めることができるとされているためです。また、第二に単回性トラウマだけでなく、治療が難しいとされている複雑性トラウマや発達性トラウマにも効果があると言われており、幅広いトラウマ処理が期待できるためです。

PTSDの治療は恐怖となったトラウマ体験を想起させる、言わばカサブタを剥がすような行為であることから、患者様にも多くの負担がかかることが予測されます。しかし、BCTを用いることでその負担を最小限に留めながらトラウマ処理を行うことを目指します。

BCTは最新の心理療法であることからエビデンスも多くはありませんが、最先端のトラウマケアとして今後の発展が期待されている心理療法です。当院の医師や心理士も、患者様と共に模索しながら患者様の問題解決に寄り添って参ります。