お知らせ

発達障害 その(3)グレーゾーン

2020年6月29日

Ⅴ.膨大なグレーゾーン

大人の発達障害に限らず発達障害一般の診療において、診断はつかないまでもその特性によって生活上一定の困難を抱えている方が膨大におられます。いわゆるグレーゾーンに相当する方々です。診断がついた場合も自閉症スペクトラムという位で、症状の強さの濃淡が連続的にスペクトラムにつらなっていると考えるのです。

当院でも発達障害の診断を行っておりますが、診断はつかないまでもグレーゾーンと思われる方が膨大におられます。

分かりやすくするため下の図を参照下さい。

上の図で点線楕円の内側が発達障害の診断がつく、いわゆる診断基準を満たす集団です。ただし点線の外側周囲にもやや濃いグレーの領域が大きく広がり、点線の内側でも濃度に濃淡が認められます。

見方をかえると本来自然界のものを人間が勝手に線引きしている、つまり点線を書いているというのが実態とも考えられます。

そう考えると診断をすることに本来的な意味があるか疑問になりますね。点線の内側なら病気で外側なら健常という考え自体が事実とはいえないとわかると思います。

よって現実的には周囲の環境や本人の性格傾向などが大事になります。例えば、楽観的な性格であれば、多少周囲に空気が読めないと指摘されても問題を感じないだろうし、環境要因として本人の特性にあった仕事や活動であれば特に困難さを感じないといったこともあります。またIQの高さなども大事になります。IQが高くてIT技術者、研究者、医者、官僚などになれば多少の社交性のなさやこだわりの強さ、ミスの多さなどは問題にならない、あるいは問題になっても何とかなるとことが多いのも事実です。

また当院では発達障害の診断を希望される方にTEG検査という性格検査を行っているのですが、N型性格やW型性格が多いです。人に嫌と言えない、葛藤をためこむ、断れない、人の指示では動けるが自分からは動けない・・・などの傾向をもっている方で内向的な性格傾向です。発達特性の問題というよりはそのような性格傾向で生きづらさを感じ、受診されているのかもしれないです。

発達障害の診察では、元々持っている特性の強さに加えて環境要因、性格要因など合わせた視点が重要になります。